ジャズクラリネットの世界では、たびたび登場する超高音域(アルティッシモ音域)の音。
普段はめったに使う音ではないので、楽譜に出てきたけど運指が分からないという人は多いかもしれません。
超高音域の運指や、吹き方のコツについてまとめました。
超高音域の運指を確認しておこう!
超高音域の運指は、特に難しいというわけではありません。
まずは、上記の運指を確認しておきましょう。
超高音域が登場する「シング・シング・シング」
超高音域の音が登場する代表的な曲。
ニューサウンズのシング・シング・シング。
吹奏楽部のコンクールなどで演奏されることも多い、スウィングジャズの定番曲ですね。
実際に聴いたことのある方なら分かると思いますが、この曲のクラリネットソロは責任重大!
演奏全体の印象を左右しかねない終盤でソロが登場します。
最後の超高音域の締め音をバッチリ決められるかどうかは、吹いている本人はもちろん周囲もドキドキです。
ソロの最後は、hihiAで伸ばした後にさらにhihiCで締めくくります。
この時出す音はクラリネットでリードミスした時よりも高い音。
もはや超音波のようなキーンと高い音です。
簡単に出る音ではありませんが、ソロの最後で超高音域の音がバッチリ決まった時の快感は何ともいえないはず!
挑戦してみる価値は大いにあります。
参考:YouTube音が出ますのでご注意ください
※演奏開始から5分前後の部分で「超高音域」の音が出てきます。
超高音域の音を出すコツ
おそらく、ほとんどの方は運指をまねするだけでは超高音域の音は出ません。
どうやったら音が出るのかをまとめました。
実際にクラリネットを演奏している方が心がけているポイントもご紹介します。
成功の秘訣は高音域を意識しすぎないこと!
超高音域の音を出す時には、「高い音を吹く」というのをあまり意識しすぎないほうがいいと言われています。
超高音域を出そうと思うと身構えてしまって、体やアンブシュアに余計な力がかかってしまいます。
可能であれば、誰かに協力してもらって以下の練習方法を試してみましょう。
練習方法
音を出しやすいシャリュモー音域でクラリネットを鳴らし、もう1人にレジスター・キーを背後から押さえてもらいます。
レジスター・キーを押さえると、突然音が跳ね上がって12度上の音で鳴り続けます。
この時の音は、おそらく自分で出す高音域の音よりもしっかりしていて堂々としているはずです。
練習で意識するのは、シャリュモー音域の音を「いかに豊かに、たっぷりの息を吹き込んで吹くか」ということ。
シャリュモー音域は初心者でも比較的ならしやすい音域です。
この時のアンブシュアを保ちながらでも、クラリオン音域の音が簡単に出せるということを体で覚えましょう。
こうすることで、「高い音だから」と変に身構えることがなくなります。
超高音域を吹くときには、さすがにアンブシュアはある程度締めなくてはいけません。
クラリオン音域を出すことの苦手意識がなくなるだけでずいぶん音が出やすくなるはずです。
とはいえ、最初のうちは、超高音域の音はなかなか出ないと思いますが、大切なのは音が出るまで続けて感覚をつかむことです。
プロのクラリネット奏者でさえ、「超高音域の音は、勘は欠かせない」と言います。
「出そうと思った音が出なくてリードミスした時の感じ」とか、「喉の奥を大きく開けて音が突き抜けた感じ」など、人それぞれで音が出るときの感じ方が違います。
音が出るまではひたすら挑戦して、音が鳴る感覚を自分なりにつかんでみてください。音が出たら、その感覚を忘れないように何度も吹いてみて、体に感覚を覚えさせてしまいましょう。
※1 音域
みんなはどうやって音を出している?
超高音域の音をみんなはどうやって出しているのか?
調べてみました。
実際に超高音域を吹くことに成功した人のコツを見てみると・・。
意図的にリードミスさせるようなイメージでアンブシュアを締めて、おもいっきり吹くのがポイントのようです。
音色にこだわれるような音域ではないので、「出るか出ないか」、「音を外さないかどうか」が焦点です。
なお、クラリネットを演奏するときは「リードを噛まない」とか「アンブシュアを締めすぎない」と言われますが、超高音域の音に関してはアンブシュアを多少噛まないと出せません。
「こんな音、出なくてもいいんじゃないの?」と思うかもしれませんが、海外の有名なジャズクラリネット奏者は超高音域も楽々吹きこなします。
音域の広いクラリネットならではのソロは、すごくかっこいいですよ!
クラシック一本でいくというのなら超高音域の音は吹けなくても問題ないかもしれませんが、ジャズも演奏するつもりなら「高音域の音」に挑戦してみてくださいね。
